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第7回はるひ絵画トリエンナーレ 展示写真レポート 清須市はるひ美術館

清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ

清須市はるひ美術館


2012年 5月3日(木・祝)― 6月10日(日)



【源馬菜穂 〔contact〕 (大賞)】

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源馬菜穂 《contact》(大賞)


〔prologue〕
大賞受賞作というとやはり何かと大注目を集める事でしょう。
私のお薦めの作家さんたちが落選されたと聞いて残念でしたので、
それらを凌駕した作品はいかなる作品か、大検証しようともくろんでいました。

じっくり何度もなんども観て、結果素直に降参です!
紛れもなく大賞の風格にふさわしい堂々たる作品だと思いました。

まず、全体から発するあまりにも爽やかでみずみずしい香りは感性の息吹を感じます。
明るい作品は数おおくあれど、こうした清々しいまでの雰囲気と
寂寥感をかんじさせる作品は出会ったことがないです。


誰をも魅了する雰囲気。
コンセプチュアルアートなどを超越した普遍性。

人がきっと潜在的に求め、心地よいと思うプラスの感情を沸き立たせる。
いわゆるスターや人気者がもちえる、オーラを、
この作品は持ちえていると思えます。

きっと時が経過し、歴代の大賞作をふりかえった時でも、
けっして色褪せない輝きを放っていると思います。

本当に魅了される素敵な作品です。



また、源馬さんにお会いしたのですが、もう作品とおなじように、
希有な雰囲気をまとう、とてもチャーミングな女性でした。
あ~こうした方だからこそ、このような作品を生み出せるんだなと思いました。


【作品】
■ 最大の特徴は筆使いと色彩。

流麗で躍動感をもって流れる生き生きとした筆跡。
風がなびき、大地までもが不規則に流れているかのよう、
そして大気が壮大な様を見せる。

また、よく観ると縦にも流れるのラインが控えめに自然発生し、
横ラインへの流れに対して引力で下に流れ、絶妙なバランスを整える。
キャンバスに水平線がとおっているが、上面は規則正しく、下面は不規則に入りくむ。

中央、右にラインが集中し、どこまでも伸びる水平線の視点が集約。
紫色がポイントになりさまざまな効果を生み出し、オレンジとブルーの対比が鮮烈。
先ほど寂寥感と書きましたが、画面全体が流れ、そして一見明るく鮮やかな
オレンジとブルーの対比が、きっと寂寥感をかんじさせるのだと思います。

この作品は様々な距離で観ると、表情に変化が見て取れる。
かなり引いてみると、大地の白っぽい面までもがつながりVの字のように見えてくる。


■ 人物

この作品にもしも人物が描かれていなかったとしたら?
ここまで心情に響く詩的性は伝わってこないでしょう。
男性らしき人物はなぜこの場を歩いているのか?
どんな人物で、何を想って生きているのだろう。

そんな物語を感じさせる。

絵は明るい色彩におおわれている、にもかかわらず、すこし淋しげな印象もうける。
彼は心にそれなりの機微を秘めながら、気負いすぎることもなく、
憂いに沈むこともなく、生活上はニュートラルに、さらりと生きている。
そんな人。。。

これは、わたし自身の投影なのだろうか?


美静



【アーティストトーク】
源馬菜穂
2012年5月26日(土)
午後2時~




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展示風景

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三浦  高宏 《二重身》 (準大賞)




3年に一度開催される「はるひ絵画トリエンナーレ」の初日に取材にいってきました。

表彰式が行われるのは知っていましたが、
これほど多くの関係者が集まるとは思っていませんでしたのでびっくり。
本展に作品が展示されている入選以上の方はもとより、
佳作の方々も出席されていました。
かなり遠方の方もいらっしゃったようでご苦労様でした。

開会式は大賞を受賞された源馬菜穂さんのチャーミングな笑顔が華もあり素敵でしたね。
おめでとうございます!

その後、講評会がスタートし、展示されている作品に対して
審査員の先生方と作家さん自らが説明をされました。

ここで思ったのは、先生の解釈と作者の意図というか何を表現しているのは、
食い違っていたのが新鮮でした。
と言ってしまうと怒られそうですが、高名な先生方でも現代アートでは
作者の意図はなかなかわかりにくいのだなとホっとしたしだいです。
また、話し言葉が自然で、いわゆる書籍などの高尚な言葉とは異なり、
これまた親近感もわきましたね。

さて、展示全体の印象です。
かなり時間をかけて観ました。
やはり入選とそれ以上の受賞作では、ざっくりとですが作品のオーラが違うと思いました。
独自性があり、その作家ならではの売りがかならず作品に見て取れました。

この後に「460人展」に寄ったのですが、平面作品といえどもずいぶん違うなと感じました。
はるひの選出されている作品は、やはりカラーがあり、昨年の回顧展も観た事により、
一層感じることです。
前衛的だったり、デザイン的な要素が入るモダンな作品は少なく、
情感といいますが、正統的な雰囲気がします(大賞の源馬さんの作品は当てはまらず)。
参加者の年齢の幅が広いためと先生方の基準にもよるのでしょう。


私は若手を中心にかなり多くの作品を観ている方だと思いますが、
佳作以上でお名前や作品を知っているのは、源馬さんと中小路さんの2名のみ。

これは、個人的なことになりますが、いつも観にいく場合は
自分の好みで判断するところがありますが、
本展はそうではありません。

784点の中から識者が選ばれたからには、必ず長所があるわけで、
また自分なら選んだろうか?という視点からも、客観的に観ることを心がけ、
大変勉強になりました。

また、観た瞬間にいいなと思う作品が時間が経過し、他の作品をじっくり観たり、
作者の考えを聞いたりすると、評価がかわってきたりしました。

何はともあれ、こうして全国から多くの作家さんが応募され、
素敵な作品を拝見できるのはうれしい限りですね。
次回はさらに激戦になるのでしょうか?
3年後がたのしみです!


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茅根賢二 《Stairs》 (入選、きよす賞)

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展示風景


■ 大賞
源馬菜穂 「contact」

■ 準大賞
室木絵里子 「紙の風景2011」
三浦  高宏 「二重身」

■ 優秀賞
打田宗平 「もう一つの神話」
豊島尚 「無題」
吉井宏平 「忘却の街Ⅱ」
木下令子 「fixing」
栗原光 「cross section」

■ きよす賞
茅根賢二 「Stairs」
※きよす賞は実行委員会において入選作品の中から1点を選出


応募者数 491人
応募作品数 784点


本展の展示数は入選28点、佳作20点のうち、
入賞・入選(入選以上)作品の28点が展示されます。




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吉開繁美 《残村風景》 (入選)

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渡辺亜希子 《LIght green》 (入選)




【データ】
展覧会名: 清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ
会  期: 2012年 5月3日(木・祝)― 6月10日(日)
休 館 日: 月曜日
時間: 午前10:00~午後7時
住所: 清須市春日夢の森1番地
電話: 052-401-3881 
FAX: 052-408-279

観 覧 料: 一般300円 中学生以下無料 
各種障害者手帳提示者は無料
および付添いの方1名は半額


清須市はるひ美術館 公式サイト



取材責任: 美静
撮影担当: こうもりえ



■ 画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
  転用等はご遠慮ください。


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童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱 展示室内写真レポート 清須市はるひ美術館

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「全力を尽くして子どもの魂に触れる絵を描くこと、それが童画の究極の目的」

■ その武井武雄の特別展が清須市はるひ美術館でスタートしました。
見終わった感想としては、「マルチなアーティスト」という印象がとても強く残りました。
「童画」「版画」「刊本」「余技」と実に様々なジャンルに才能を発揮、
子どもの為に夢あふれる作品を創作したかと思えば、大人の為の絵本「刊本」をも創り、
究極は徹底的にこだわりぬいた渾身の絵本を自分の為に。

武井武雄の世界は夢があふれんばかりに展開されています。
作品を観ていても、子どもから大人まで楽しい気分にしてくれる要素が、
たくさん詰まっています。

大正から昭和にかけて活躍した武井武雄ですが、現在においても
まったく色あせない魅力にあふれています。
ぜひ、この機会に、武井武雄の世界を1人でも多くの方たちに知って頂けたらと思います。




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上段: 「コドモノクニ」創刊号(1922年1月号) 1922 その他 / 「おやゆびひめ」 1965
下段: 「おやゆびひめ」 1965 


《童画》

「童画」とは、1925(大正14)年、子どものために描かれた絵という意味で
武井武雄が使い始めた造語です。

童話「おやゆびひめ」、「そんごくう」、「アラジンのランプ」、「うらしまたろう」の挿絵など。

■ 水彩、クレヨンで描かれた色彩豊かで、なごめる挿絵がストーリー通りに展開。





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下段: 「青の魔法」 1964


《童画》「おばけシリーズ」(画像上)

「おばけシリーズ」は子どもたちがおばけという題材を好むと知りシリーズ化。
日本童画会展に出品した際、幼い女の子がしばらく作品を眺めていたかと思うと、
急に笑いだしてその場を離れないという事がありました。
武井武雄は大変喜び、この観客一人だけで労が報いられたと記しています。

■ とっても微笑ましくも感動的なエピソード。
武井武雄の人柄がつたわってくるようです。



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上段: 銅版絵本「地上の祭」 1938
下段: 「榛の会20周年記念自画像」 1954

《版画》

挿絵、年賀状、蔵書票にも活用。

銅版絵本「地上の祭」1938年
「一度でいいから遺憾のない本を作ってみたい」と材料から装丁まで
徹底的にこだわり抜いた渾身の一冊。
3年の月日を費やしてようやく完成した、空前絶後の本。

■ 版画は秀逸な展開をしている1つで、超絶の「地上の祭」から
現在でも十分通用するモダンなデザインの作品の数々。
「鳥の連作」は武井武雄が好んで使ったモチーフです。




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上段: 「人魚と嫦娥」 1966
下段: 「菊妖記」 1953


《刊本》
大人向けの絵本「刊本作品」は全139点の小型私刊本。
芸術性を盛り込み、各300冊ずつ作られた限定本で、会員のみに原価で配布。
いまだかつて造本に使われたことのない技法を使い「本の宝石」と呼ばれています。

■ これほどこだわった本は見たことがないです。
  言葉では言い表せないほどの途方もない奇跡的な本の数々。
  ぜひ、このすごさを堪能してみてください。


● イルフ童画館では全139冊が所蔵されております。





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【関連イベント】
《親子ワークショップ「本を作ろう!》
ヘラを使って紙を折ることから始めます。
身近な素材の紙を切って、折って、綴じて、一冊の本をつくりましょう。

日時: 7月23日(土)、30日(土) 14:00~16:00
講師: 都筑晶絵〔製本作家〕  場所:清須市はるひ美術館
料金: 500円(要申し込み・先着順)※要展覧会チケット
対象: 親子(小学生以上の子どもに限る)
定員: 各10組  持ち物:筆記用具


《武井武雄ジャンボカルタ大会》
武井武雄のカルタで思いっきり遊びましょう。

日時: 8月6日(土)、8月20日(土) 各日13:30~/15:00~(1時間程度)
場所: はるひ保健福祉センター 多目的ホール(美術館西隣)
料金: 無料(申し込み不要) ※要展覧会チケット
対象: 小学生以上  定員:60名程度 ※先着順


《トーク&製本実演》
武井武雄の本の中でも珠玉の一冊『地上の祭』についてその魅力をたっぷり語っていただきます。
珍しい和装本の作り方もご覧いただけます。

日時: 8月21日(日)14:00~ 1時間半程度
講師: 田中栞〔日本出版学会理事、日本豆本協会会長〕
場所: 清須市はるひ美術館  
料金: 無料(申し込み不要) ※要展覧会チケット


《ギャラリートーク》

当館学芸員によるギャラリートーク
日時: 7月24日(日)、31日(日)、8月7日(日)、28日(日) 
各回14:00~ 40分程度 



【データ】
展覧会名: 「特別展 童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱」
会  期: 2011年7月9日(土)-9月4日(日)
休 館 日: 月曜日(ただし7月18日[祝]は開館し、翌19日[火]は休館)

開館時間: 10:00~17:00(入館は16:30まで)
観 覧 料: 一般700円 高大生600円  
[無料] 中学生以下 ※小学3年生以下は保護者同伴に限る
各種障害者手帳提示者及び付添い人1名

清須市はるひ美術館 公式サイト

清須市はるひ美術館 公式ブログ

武井武雄の世界 イルフ童画館 公式サイト


※ 作品はすべてイルフ童画館所蔵
※ 参考、引用: 本展覧会図録


画像・記事は主催者の許可を得て、取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材・撮影: 美静


「はるひ絵画トリエンナーレ回顧」展 展示室内写真レポート 清須市はるひ美術館

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下段: 上田暁子 「世界は大きな花束でもある」2008 / 加藤さくよし 「光の泉」 2003


「はるひ絵画トリエンナーレ」は1999年の開館当初より隔年の春に開催。
本展はその第1回から6回までの回顧展です。

各回から大賞受賞作など数点が選ばれ、各回がまとまって順序通りに展示されているのですが、
時代の移り変わりとその時々の流行がとてもよくわかります。

このような現代アートの作品が回顧されるのは珍しいと思うのですが、
おもしろい視点で観る事ができました。

私が良いとおもった作品が偶然にも同じ開催年の作品だったりして、
そうした傾向をさらに認識できました。

また、意外にも人物画が少なかったですね。

ユニークな試みとしては、各作品のキャプションに作家の言葉と審査員選評が書かれているのです。
1つの参考としては、とても良いことだと思いました。



● 第6回(最新)の大賞受賞作家 上田暁子さん「上画像:(世界は大きな花束でもある)」は、
数回チャレンジしての栄誉。 とてもすばらしいです。

上田さんは6/18(土)午後2時からアーティストトークをなされますので、
こうしたお話もできるかもですね!


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【関連企画】
■ アーティストトーク: 上田暁子
(第6回はるひ絵画トリエンナーレ大賞受賞)
6月18日(土) 午後2時より

上田暁子 公式サイト


■ 学芸員によるギャラリートーク
5月28日(土)、6月11日(土) 午後2時より

■ 講評会鑑賞コーナー(2階オープン展示室)
過去のはるひ絵画トリエンナーレ講評会の様子を
鑑賞していただくコーナーです。


【データ】
会期: 2011.5.4~6.19
開館時間: 9:30~17:00まで(入館は16:30まで)
休館日: 月曜日(祝日の場合は以降の最初の平日)

〒452-0961 清須市春日夢の森1番地
電話/052-401-3881 FAX/052-408-2791

清須市はるひ美術館 公式サイト

■ 清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ作品募集!  募集期間 2011年11月1日〜30日


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上段: 山田純嗣 「(03-1)ROAD」 2003 / 西村 有 「庭園」 2008




画像は主催者の許可を得て撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材責任者: 美静
写真撮影者: こうもりえ