FC2ブログ
2011 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312011 09

東北復興支援特別企画 「棟方志功 祈りと旅」 展示室内写真レポ 愛知県美術館

【祈り】

P1220544.jpg P1220610.jpg
【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】


【趣旨】
ゴッホに憧れ「わだばゴッホになる」と美術の道に進むことを決意した棟方志功 (1903~1975)。
やがて版画の世界に触れ、版画こそが日本独自の美の表現だと確信します。
板という素材の持つ力に注目し「板の生命を彫りおこす」ことを探求した棟方は、
自ら「板画」と称する木版画で旧来の版画の常識を覆しました。

そして1955年のサンパウロ・ビエンナーレ、翌年のヴェネツィア・ビエンナーレの
版画部門で最高賞を受賞し、国際的な評価を確立します。
板画を中心に肉筆倭絵や油彩画など、多彩な活動に打ち込む棟方の創作意欲は、
生涯衰えることはありませんでした。

本展覧会では、「祈りと旅」をテーマに棟方の画業を振り返ります。
松尾芭蕉に想いを馳せ『奥の細道』に倣った旅のスケッチをもとにした
《奥海道(おうかいどう)棟方板画》など棟方板画を代表する〈海道シリーズ〉や、
全長26mにも及ぶ《大世界の柵》は、本展最大の見所です。

その他にも、仏教や古代神話、故郷である東北を題材とした数々の板画や、
直筆の倭絵、書、陶芸といった文人的な作品から晩年の油彩画に至るまで、
約70件300点を通して、棟方の制作活動の全貌をご紹介します。

なお、東北出身の著名な版画家棟方志功を特集する本展は、
被災地の長期に及ぶ復興を支援していく「東北復興支援特別企画」という位置づけのもと開催されます。


■ 東北復興支援事業
○ この展覧会でお買い求めいただいたチャリティーグッズのポストカードおよびポスターの収益は、
朝日新聞厚生文化事業団ならびに全国美術館会議を通じて、被災地の復興ならびに文化財、
美術品救援活動のための義援金にあてられます。




【津軽】


P1220118.jpg P1220562.jpg
【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】


【見どころ】

① 全長26メートル、棟方作品最大の《大世界の柵》
二つの柵「坤」「乾」からなる《大世界の柵》は、それぞれ72枚の版木で制作された、棟方最大の作品です。
棟方夫人のわきの下から誕生する釈迦や、また諸々の女性たちが子を産み、授乳する姿など、
地上に栄える生命を讃えたこの作品は、まるで巨大な宇宙であり、観る者を圧倒します。
小作品という版画の一般的なイメージが覆されることでしょう。

② 海道シリーズを一挙公開
棟方は旅を通して見出した日本各地の美しい景色を描き、連作<海道シリーズ>を制作しました。
本展覧会では、これまでまとまって展示されたことはほとんどなかった<海道シリーズ>のうち、
安川電機が顧客に配るカレンダーの原画の制作依頼を受けて描いた《西海道棟方板画》や、
松尾芭蕉に想いを馳せ『奥の細道』に倣った旅のスケッチをもとにした《奥海道棟方板画》など、
《東海道棟方板画》を除くシリーズのすべてが展示されます。
日本の原風景、日本人の心性の源を掘り下げて描き出した棟方の芸術に、
じっくりと向い合うことができます。

③ 東北復興支援特別企画
東北(青森、津軽)出身の著名な板画家棟方志功を特集する本展は、
被災地の長期に及ぶ復興を支援していく「東北復興支援特別企画」という位置づけのもと開催されます。
棟方の作品には、故郷を想い、そこに暮らす人びとを題材にしたものが多くあり、
私たちにとっても東北へと想いを馳せる機会となるでしょう。

復興への祈りを込めたこの展覧会にあわせ、ポストカードやポスターなど、
チャリティー・グッズの販売で得た収益を被災地へ寄付する支援事業を行います。
また記念講演会には、青森にある棟方志功記念館から講師をお招きし、
一般にはあまり知られていない故郷青森での棟方のエピソードを数多く紹介します。




【文人画家の多彩な芸業】

P1220701.jpg P1220026.jpg P1220007.jpg P1220742.jpg
【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】


【関連事業】
■ギャラリー・トーク(学芸員による展示説明会)
 8月6日(土)、8月20日(土)11:00-11:40
※申込み不要・聴講無料。観覧券をお持ちの上、開始時刻に展覧会場入口にお集まりください。


【データ】
会場:   愛知県美術館 [ 愛知芸術文化センター10階 ]
会期:   2011年7月9日(土)-9月4日(日)  [50日間]
開館時間: 10:00-18:00 金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日: 毎週月曜日[ただし、7月18日(月・祝) は開館]、7月19日(火)

愛知県美術館 公式サイト




【旅と文学】

P1220303.jpg P1220751.jpg
【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】



画像・記事は、すべて主催者の許可を得て、取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


関連記事
スポンサーサイト



「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 展示室内写真レポート 名古屋市美術館

【レンブラント光の探求/闇の誘惑】
版画と絵画 天才が極めた明暗表現


P1190966.jpg
091 レンブラント・ファン・レイン 《書斎のミネルヴァ》 1635年
個人蔵 ⓒPrivate Collection, New York

本展覧会最大の注目作であり、大作たる名画中の名画。
レンブラントの魅力が余すところなく随所に発揮。
この気品に満ち溢れた作品の風格は傑出しています。




『まとめ感想』

天才という誉れ高き称号をもつレンブラントの展覧会という事で、
大注目の中観ましたが、その称号にふさわしい傑作の数々でした。

作品の質、量をはじめ、章構成からの見せ方、展開。
作品の配置、位置。そして照明への拘り(LED照明)、解説パネル、キャプションデザイン、
図録までと、展覧会を司るすべての要素が、この上ない質の高さを誇り、
至高の展覧会でした。

版画作品は非常に繊細で精密な要素から成り立っていますので、
一点一点をじっくり細部までご覧いただくと、
レンブラント版画のすばらしさを堪能できるでしょう。

またステートの進行や異なる版画用紙に描かれた作品の比較など、
見るべき視点が複数ありますので、本展覧会は様々な角度から
楽しみ研究できるかと思います。





Ⅰ「黒い版画」:レンブラントと黒の諧調

P1210122.jpg P1210386.jpg P1190968.jpg

第1章からいきなりの傑作群に遭遇する。
版画作品が注目の本展の中でも、もっとも魅力的な傑作が目白押しの章です。
レンブラントは光の探求が生涯の課題、明と暗。


■ 下段:画像左右の左
043 レンブラント・ファン・レイン《ヤン・シックス》1647年
エッチング、ドライポイント、エングレーヴィング
レンブラントハウス、アムステルダム

本展覧会、版画作品中、燦然と輝く比類なき真の傑作。
版画作品中私がもっとも惹かれた作品です。

数年前から継続的に試みられていた暗い暗室の描写は、
本作品により頂点を極める。


【レンブラントの油彩(1624―1635)――光の探求】

P1210173.jpg P1210482.jpg P1210166.jpg


■ 上段:右
083 レンブラント・ファン・レイン《アトリエの画家》1628年頃
ボストン美術館、ボストン

「アトリエの画家」は比較的小さい作品(24.8×31.7cm)ながら、
本展覧会中でもっとも魅力的な作品の1つであり、
まさしくレンブラントの才能が遺憾なく発揮された傑作でしょう。
このシンプルながら完璧な構図と光をたくみに操った様は圧巻です。




Ⅱ「淡い色の紙」:レンブラントと和紙刷り版画

P1190948.jpg P1210422.jpg

第2章は複数ステート及び「異なる版画用紙」を使った事の革新性と比較。
そして、注目は和紙を多用した事でしょう。
和紙作品が多く展示され、西洋紙とどのような雰囲気の違いがあるのかを、
堪能することがこの章の興味が尽きない点です。

※ 西洋紙は白黒がはっきりし、和紙は中間色、高級感がでます。

■ 右 
3点共レンブラント・ファン・レイン《ヤン・アセレイン》1647年頃
039:和紙 / 040:オートミール紙 / 041:和紙

違いがよく理解できる3点比較です。

039:大英博物館、ロンドン / 040:アムステルダム国立美術館
041:レンブラントハウス、アムステルダム



【レンブラントの油彩(1634-1659)――闇の誘惑】

P1210554-1.jpg P1190983.jpg P1210277.jpg




Ⅲ「とても変わった技法」:レンブラントとキアロスクーロ

P1210070.jpg P1210025.jpg P1210269_20110629040505.jpg


キアロスクーロとはイタリア語で「明・暗」

■ 下段左2点
098 レンブラント・ファン・レイン「神殿奉納」1640年頃 
099 レンブラント・ファン・レイン「神殿奉納」1640年頃 『銅版原版』

2点共レンブラントハウス、アムステルダム

098と099は作品と銅版原版が並んでいます。



Ⅳ 《3本の十字架》と《エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)》――2点の傑作版画

P1210235.jpg P1210244.jpg

本展覧会の有終の美を飾るにふさわしい崇高たる傑作。
「絵画に匹敵する版画」を制作しようとする芸術的信念の高まり。
ステートの進行に伴い、作品への根本的修正が加わるという版画史上きわめて稀なプロセスがとられ、
構図の改変は、通常のステートの相違という概念をはるかに越えるものです。

■ 右の左 
116 レンブラント・ファン・レイン《3本の十字架》
1653年ルーヴル美術館、パリ
この作品は初版作品です。



【展覧会趣旨】

オランダ絵画史の頂点に立つ巨匠レンブラント。

17世紀オランダにおける随一の肖像画家、宗教画家であっただけでなく、
レンブラントは版画家として、西洋美術の歴史を通じても
最高の作家の一人に数え上げられます。

この展覧会では、レンブラントが生涯を通じて取り組んだ銅版画を中心に、
油彩、素描など117点を公開します。

ルーヴル美術館、ボストン美術館が所蔵する油彩の名品や、
当時オランダに輸入されたばかりの貴重な和紙に刷られた版画など、
世界中から重要な作品が集います。

前人未到の境地に達した天才・レンブラントの「光と闇」、
その大胆な演出と繊細な美しさをご堪能ください。




【データ】
会  場: 名古屋市中区栄二丁目17番25号(白川公園内)
      名古屋市美術館 企画展示室1・2

会  期: 平成23年6月25日(土)~9月4日(日)
休館日: 毎週月曜日(7月18日(祝・月)は開館、7月19日(火)は休館)
開館時間: 午前9時30分~午後5時 (金曜日は ~午後8時)
      ※入場は閉館の30分前まで


名古屋市美術館 公式サイト

中京テレビ 特別展「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 専用公式サイト


■参考・引用=本展覧会図録


画像・記事は、ブログ運営者の私が(写真撮影者ではなく)、
主催者の許可を得て、記者内覧会時に取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材責任者: 美静
写真撮影者: こうもりえ



関連記事

童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱 展示室内写真レポート 清須市はるひ美術館

P1000412.jpg

「全力を尽くして子どもの魂に触れる絵を描くこと、それが童画の究極の目的」

■ その武井武雄の特別展が清須市はるひ美術館でスタートしました。
見終わった感想としては、「マルチなアーティスト」という印象がとても強く残りました。
「童画」「版画」「刊本」「余技」と実に様々なジャンルに才能を発揮、
子どもの為に夢あふれる作品を創作したかと思えば、大人の為の絵本「刊本」をも創り、
究極は徹底的にこだわりぬいた渾身の絵本を自分の為に。

武井武雄の世界は夢があふれんばかりに展開されています。
作品を観ていても、子どもから大人まで楽しい気分にしてくれる要素が、
たくさん詰まっています。

大正から昭和にかけて活躍した武井武雄ですが、現在においても
まったく色あせない魅力にあふれています。
ぜひ、この機会に、武井武雄の世界を1人でも多くの方たちに知って頂けたらと思います。




P7080582.jpg DSC08436.jpg DSC08440.jpg DSC08441.jpg
上段: 「コドモノクニ」創刊号(1922年1月号) 1922 その他 / 「おやゆびひめ」 1965
下段: 「おやゆびひめ」 1965 


《童画》

「童画」とは、1925(大正14)年、子どものために描かれた絵という意味で
武井武雄が使い始めた造語です。

童話「おやゆびひめ」、「そんごくう」、「アラジンのランプ」、「うらしまたろう」の挿絵など。

■ 水彩、クレヨンで描かれた色彩豊かで、なごめる挿絵がストーリー通りに展開。





P1000615.jpg P1000553.jpg P1000427.jpg DSC08418.jpg
下段: 「青の魔法」 1964


《童画》「おばけシリーズ」(画像上)

「おばけシリーズ」は子どもたちがおばけという題材を好むと知りシリーズ化。
日本童画会展に出品した際、幼い女の子がしばらく作品を眺めていたかと思うと、
急に笑いだしてその場を離れないという事がありました。
武井武雄は大変喜び、この観客一人だけで労が報いられたと記しています。

■ とっても微笑ましくも感動的なエピソード。
武井武雄の人柄がつたわってくるようです。



DSC08430.jpg DSC08422.jpg DSC08386.jpg
上段: 銅版絵本「地上の祭」 1938
下段: 「榛の会20周年記念自画像」 1954

《版画》

挿絵、年賀状、蔵書票にも活用。

銅版絵本「地上の祭」1938年
「一度でいいから遺憾のない本を作ってみたい」と材料から装丁まで
徹底的にこだわり抜いた渾身の一冊。
3年の月日を費やしてようやく完成した、空前絶後の本。

■ 版画は秀逸な展開をしている1つで、超絶の「地上の祭」から
現在でも十分通用するモダンなデザインの作品の数々。
「鳥の連作」は武井武雄が好んで使ったモチーフです。




P1000475.jpg P1000533.jpg P1000579.jpg
上段: 「人魚と嫦娥」 1966
下段: 「菊妖記」 1953


《刊本》
大人向けの絵本「刊本作品」は全139点の小型私刊本。
芸術性を盛り込み、各300冊ずつ作られた限定本で、会員のみに原価で配布。
いまだかつて造本に使われたことのない技法を使い「本の宝石」と呼ばれています。

■ これほどこだわった本は見たことがないです。
  言葉では言い表せないほどの途方もない奇跡的な本の数々。
  ぜひ、このすごさを堪能してみてください。


● イルフ童画館では全139冊が所蔵されております。





P7080617.jpg

【関連イベント】
《親子ワークショップ「本を作ろう!》
ヘラを使って紙を折ることから始めます。
身近な素材の紙を切って、折って、綴じて、一冊の本をつくりましょう。

日時: 7月23日(土)、30日(土) 14:00~16:00
講師: 都筑晶絵〔製本作家〕  場所:清須市はるひ美術館
料金: 500円(要申し込み・先着順)※要展覧会チケット
対象: 親子(小学生以上の子どもに限る)
定員: 各10組  持ち物:筆記用具


《武井武雄ジャンボカルタ大会》
武井武雄のカルタで思いっきり遊びましょう。

日時: 8月6日(土)、8月20日(土) 各日13:30~/15:00~(1時間程度)
場所: はるひ保健福祉センター 多目的ホール(美術館西隣)
料金: 無料(申し込み不要) ※要展覧会チケット
対象: 小学生以上  定員:60名程度 ※先着順


《トーク&製本実演》
武井武雄の本の中でも珠玉の一冊『地上の祭』についてその魅力をたっぷり語っていただきます。
珍しい和装本の作り方もご覧いただけます。

日時: 8月21日(日)14:00~ 1時間半程度
講師: 田中栞〔日本出版学会理事、日本豆本協会会長〕
場所: 清須市はるひ美術館  
料金: 無料(申し込み不要) ※要展覧会チケット


《ギャラリートーク》

当館学芸員によるギャラリートーク
日時: 7月24日(日)、31日(日)、8月7日(日)、28日(日) 
各回14:00~ 40分程度 



【データ】
展覧会名: 「特別展 童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱」
会  期: 2011年7月9日(土)-9月4日(日)
休 館 日: 月曜日(ただし7月18日[祝]は開館し、翌19日[火]は休館)

開館時間: 10:00~17:00(入館は16:30まで)
観 覧 料: 一般700円 高大生600円  
[無料] 中学生以下 ※小学3年生以下は保護者同伴に限る
各種障害者手帳提示者及び付添い人1名

清須市はるひ美術館 公式サイト

清須市はるひ美術館 公式ブログ

武井武雄の世界 イルフ童画館 公式サイト


※ 作品はすべてイルフ童画館所蔵
※ 参考、引用: 本展覧会図録


画像・記事は主催者の許可を得て、取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材・撮影: 美静


関連記事

所蔵企画展「夏 サマー de ミュージアム」展示室内写真レポート メナード美術館

P7080483.jpg <P7080512.jpg P7080511.jpg P7080520.jpg
上段: 島田章三 「むぎわらぼうし」1979
中段: 島田鮎子 「夏に向かって」1995


今年は早くからの猛暑が続いていて本当に暑い毎日ですね。
そんな暑さを吹き飛ばすかのような所蔵企画展「夏 サマーdeミュージアム」が、
メナード美術館で開催されています。

ブルーが印象的な作品がセレクトされた「青色の部屋」や
海、川などの夏景色、夏の装い、夏の花や生き物など、
夏を感じさせてくれる作品が約70点も展示されています。


P7080501.jpg P7080506.jpg P7080509.jpg
上段: 上=熊谷守一 「海」1950代頃  下=青木繁 「布良藻屑拾」1904


【夏景色】

展示室に入るとすぐ島田章三の「むぎわらぼうし」1979が飾られ、
一気に夏気分にいざなってくれます。
その一連の島田章三、島田鮎子作品が飾られた配置は導入として秀逸な展開で、
本展覧会の白眉たるシーンの1つでしょう。
島田鮎子「夏に向かって」1995のエレガントでファッショナブルな事と言ったら、
実にすばらしい作品です。

次に、シャガール、ドニ、セザンヌ、カンディンスキーと言っ有名画家の作品が並んでいますが、
最大の注目は抽象絵画の先駆者と言われるワシリー・カンディンスキーの「切片」1929。
この作品はバウハウスのデッサウ時代に描かれた作品だと思いますが、
すばらしく感動です。
こうした非常に質の高い作品を所蔵されていて感嘆です。

そして、もっとも驚き感激した作品が熊谷守一「海」1950年代頃の作品。
豪華な額に収まる小さな小さな海の風景が、あまりにも愛らしくて、
気持ちがす~と涼しくなり、夏全開の気分になれました。
小さな作品と言えども、その表現力は圧巻です。




P7080526.jpg


【夏の花と生きもの】

季節感を最も感じさせてくれるのは花や生きものかもしれませんね。
熊谷守一の鮮やかな色とシンプルなフォルムが、ストレートに夏を感じさせてくれる作品の数々から、
独得な白色に覆われ印象深い安井曽太郎「卓上静物」1950。
そして、平面作品の星野真吾「鬼灯」1977、森緑翠「とのさま」1975頃が並び、
立体作品(陶器)の加藤卓男「ラスター彩葡萄文陶筥」1981との展示は、
センスあふれます。




P7080538.jpg P7080548.jpg
上段: 島田鮎子 「青いアトリエ」1972 / 島田章三 「青色卓上」1977


【涼―青の世界】

夏と言えばやはり「青色」
青色で涼を感じる作品が集められています。
また、今年は例年に増してエコが注目されていますが、
目で涼を楽しむと言う方法も美術館ならではでしょう。

展示室はまさに青一色で、様々な青の色が彩り、
まさに目で涼を楽しめる展示となっています。



■ 本展覧会は「夏」というシンプルなテーマながら、
実に幅広く魅力的な展開を見せてくれます。
これは、編集力の賜物であり、同時にそれだけの展開ができる
質の高い作品と作品数を所蔵しているからです。


※ 同時開催 コレクション・コーナー「西洋絵画名作選」
クロード・モネ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ジェームズ・アンソール
パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ポール・デルヴォー、ルネ・マグリット他


【データ】
開催期間: 2011年6月28日(火)~9月4日(日)
休館日: 月曜日(但し7月18日は開館)、7月19日
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
会場: メナード美術館
住所: 〒485-0041 愛知県小牧市小牧五丁目250番地 
電話: 0568-75-5787

夏割: 宿題割引…夏休みの美術の宿題に取り組む学生さんは入場料が半額に!
    グループ割引…8/10~16は4名以上で入館料を団体料金に割引


メナード美術館 公式サイト

■ 全作品メナード美術館所蔵


画像・記事は、主催者の許可を得て取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材・撮影: 美静


関連記事

「愉快な家 西村伊作の建築」展 展示室内写真レポート INAXギャラリー名古屋

DS3_2508.jpg DS3_2572.jpg DS3_2558.jpg DS3_2661.jpg
中段: 文化学院 子供用机、椅子  ルヴァン美術館 / タイル貼り鏡台  西村記念館


INAXギャラリー名古屋で開催中の「愉快な家展 西村伊作の建築」に行ってきました。
展示室内には、実物の椅子や模型、各種パネルなどにより、
多角的に解明できるように工夫が凝らしてあります。

伊作は建築の設計者ですが、その思想は幅広く豊かな生活とは何かを、
100年前に考え実践していたことが理解できます。
その思想は現代にも通じ、普遍的な事がよくわかるでしょう。

驚いたことは、展示されてあった子どもたちの洋服まで制作していたことです。
実際の椅子などもシンプルで機能的であり、
こうしたことからも、伊作の思想が伝わってきます。

それにしても、INAXギャラリー名古屋は限られたスペースを、
創意工夫された多彩なレイアウトで展開され、
いつも感心してしまいます。

立地も名古屋栄、伏見駅からすぐの好立地、
しかも無料で鑑賞できます。


DS3_2654.jpg DS3_2614.jpg DS3_2528.jpg
DS3_2515.jpg
中段: 子供用チェア 若竹の薗 / 伊作のスケッチ帖より 西村記念館
下段: 西村伊作デザインの子供服/複製 ルヴァン美術館


【趣旨】
教育者、文化人、さらには今までにない発想をもつ設計者として、
大正から昭和にかけて自由闊達に、鮮烈に生きた人物、西村伊作(1884-1963)。
自由な考え方は暮らしそのものにも及び、文化的に住まうライフスタイルを伝えようとしたのです。
理想の住まい、暮らしのユートピアのために、100年前に試みた、
彼の自邸や建築作品を中心にご紹介します。

会場では、まず伊作の思いが凝縮した自邸Ⅲを、
模型や間取り図をガイドに写真パネルで詳しく紹介します。

伊作は自邸のために、自分の生活に合う丈夫でシンプルな家具も数多くデザインしました。
その中から居間用の椅子やタイル貼りの化粧台など貴重な作品も実物でご覧いただきます。

また、教会や保育園を含めた現存する数少ない建築も9軒ご紹介します。
建設当時の雰囲気が伝わる写真と本展撮下しの写真を交えて、
物件ごとに回遊しながらご覧いただく仕掛けです。

さらに、アイデアを書きとめた直筆のスケッチブックや、
伊作が子供たちのためにデザインした洋服なども展示します。

これら100 年前の伊作の提案からは、現在のライフスタイルの原点が見出せることでしょう。
彼の理想の住まいの形は、今見ても発見や驚きが多いことに改めて気付かされます。
どうぞご期待ください。


DS3_2672.jpg DS3_2667.jpg DS3_2627.jpg
上段: 西村伊作自宅Ⅲ模型  ルヴァン美術館
下段左: 倉敷キリスト教教会模型  西村記念館



【データ】
会期: 2011 年6 月3 日(金)~8 月18 日(木)
休館日: 水曜日、夏期休暇
所在地: 名古屋市中区錦1-16-20 INAX名古屋ショールーム2 階
電話: 052-201-1716
入場: 無料

INAXギャラリー名古屋 公式サイト



画像・記事は主催者の許可を得て、取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材責任者: 美静
写真撮影者: 浅井雅弘


関連記事

フェルメール《地理学者》  展示写真レポート  豊田市美術館

フェルメール展画像 001
ヨハネス・フェルメール《地理学者》1669 年
油彩・キャンヴァス 53,0 x 46,6 cm シュテーデル美術館蔵

P6130524.jpg P6130519.jpg
■ 画像上下共 「フェルメール《地理学者》」展示風景


【展覧会】
『フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展』
「シュテーデル美術館所蔵」


【フェルメール《地理学者》】

展示室内を順序通りに観ていくと、後半に本展最大の注目作品
《フェルメール「地理学者」》が目に入ってきました。

奥まった特別な位置に、「地理学者」のみが、神々しくも輝きながら飾られ、
左右には、地球儀と地図が囲むように展示されています。

「地理学者」は、まさに名画と言うべき傑作。 
まず印象に残るのがフェルメール・ブルーと言われる深く鮮やかな青。
「地理学者」レーウェンフックと思われる人物のまとうガウンに使われ、
絵の中心に描かれていることにより、部屋の色彩との対比がすばらしい効果をあげています。
また、フェルメールブルーと朱色の対比がさらなる印象を残します。
このフェルメール・ブルーは、陰影豊かで濃密な深さをかもし出し、
本当にうっとりするほどすばらしいです。

次に、色彩の陰影と遠近法による、部屋の立体感がすばらしく、
部屋に置かれている地図、地球儀、テーブルなどの配置が圧巻。
様々な物の配置が綿密に計算しつくされ、完璧な構図をなしています。

そして、この名画の名画たるゆえんは、光りだと思います。
やさしさ光が内から満ち溢れるが如く、全体を包むこの光が、
観る者の心に伝わってくるのです。

これは本物でしか伝わってこない。

端正でいて高貴、
まさに静謐な名画でした。


《フェルメール・ブルー》

深く鮮やかな青が有名な「フェルメール・ブルー」とは、ラピスラズリの原料から得られた
天然ウルトラマリンのことで、「真珠の耳飾の少女」のターバンなど他の作品でも使われています。

なぜ、当時純金と同じほど高価だったウルトラマリンを頻繁に使えたのかは、
フェルメールが事業にも乗り出したり、パトロンや裕福だった義母などのおかげのようですが、
その後第3次英蘭戦争により経済の低迷などにより、多額の負債を抱えたまま死去。
結局、一家は破産してしまったと言われています。


《ヨハネス・フェルメール》

フェルメールは、1995-96 年にワシントンとハーグで開催された
「ヨハネス・フェルメール」展が開催されて以来、
急速に世界が注目するようになった画家です。

日本では2000 年に大阪市美術館で開催された
「フェルメールとその時代展」で約60 万人を集め、
人気が一気にブレーク、2009 年に東京都美術館で開催された
「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」では93万人を越えました。

フェルメールは1632年、オランダ南部の小都市デルフトに生まれ、
この地で43年の生涯を送ったとされますが、その記録はあまりありません。

描いた作品として確認されている数は32 点とも36 点ともいわれ、
2004 年に新たにフェルメールの作品とした認定されたものが現れ、
諸説ありますが、その短い生涯でわずか50 作程度しか描かなかったとされています。


■ 当ブログ記事で、《地理学者》についての解説文を画像付で掲載しています。
【フェルメール《地理学者》を読み解く~モデルは誰?】 豊田市美術館


P6130477.jpg P6130488.jpg P6130491.jpg P6130492.jpg P6130496.jpg P6130510.jpg


【オランダ・フランドル絵画】

《章展開》
「歴史画と寓意画」
「肖像画」
「地誌と風景画」
「風俗画と室内画」
「静物画」

フェルメール以外にもレンブラントの傑作「サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」をはじめ、
ルーベンス、ブリューゲルと美術史に名を残す画家たちの名画95点を観る事ができます。
作品には当時の社会などがテーマに描かれ、非常によくわかりますし、
見ごたえたっぷりで、オランダ・フランドル絵画の特色を堪能できるまたとない機会です。

■ 当ブログ記事で、「オランダ・フランドル絵画」についての解説文を作品画像付で掲載しています。
【フェルメール《地理学者》 大航海時代の英知の結集】 豊田市美術館


【建築】
目の前に佇む外観を目にすると、否応なしに感性が高まる。
そして、展示室に入り、名画がずらりと並ぶ様は、
なんという美しさだろう。
隅ずみまで行き届いた、美意識の高さ。

「アーツ&クラフツ」~「ル・コルビュジエ」の流れをくむモダニズム建築。
愛知県の誇れる意匠。
谷口吉生設計の傑作建築。


【その他】
■ 本展覧会はお客様が少しでも良い環境で鑑賞できるように様々な工夫がされています。
展示室内の写真を見ていただくとわかると思うのですが、
作品の上部に四角いデザイン模様が施されています。
これは、天井が高い為に、開いてしまうのを視覚的効果で防ぐ為と、
章ごとに、色が変えてあるのです。
この効果は抜群でした。

■ 章解説やキャプションの文字も通常より大きめにサイズにしてありますが、
混雑をした時に後方の方でも読みやすい事と、様々な方たちが読みやすいように
されているアイデアです。

■ パーテーションによるレイアウトも鑑賞のしやすさと、
混雑時にすこしでもスムーズに観ていただけるように導線が配慮がなされているのです。

■ 他にも、作品の安全保護の為のテープやロープ等も使用されていません(《地理学者》前だけはあります)。
こうした事も、美しさを保てますし、気持ちよく観る事ができますね。

■ 照明は通常作品保護の為に照度がかなり落とされるのですが、
本展覧会はとても明るい照明下で観る事が実現されています。

こうした細かい配慮により、さらにすばらしい展覧会になっています。



『まとめ』
本展覧会は最大の注目作「フェルメール《地理学者》」が
話題を呼んでいますが、納得できる名画でした。
展覧会では多くの作品を一度に観る事ができます。
ですが、たった1作でも、心に残る作品に出会えたのなら、
後々まで記憶は残り続けるでしょう。

同時に、本展覧会は全体の構成や質、量から細部へのこだわり、
サービス、建築にいたるまで、トータル的に見ても、
称賛に値する展覧会だと思いました。


P6130529.jpg P6130537.jpg P6130540.jpg P6130545.jpg


【展覧会趣旨】

愛知県・豊田市美術館で『フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展』が
豊田市制60周年記念事業として開催されます。

ヨハネス・フェルメールは、東京で90万人以上の
観客動員の実績があるほどの人気の画家ですが、
その作品数は世界にわずか30数点しか確認されていません。

本展では、その巨匠フェルメールの円熟期の傑作《地理学者》を中心に
レンブラント、ルーベンス、ブリューゲルといった
同時代を代表する画家たちの名画95点をご紹介します。

そのうちの90点は日本初公開で、ドイツの名門シュテーデル美術館の
改装工事に伴って実現いたしました。

大航海時代のオランダ・フランドルの黄金期の
世界的コレクションの魅力を堪能いただければと思います。



DSC_0122_20110622042129.jpg DSC06906-1.jpg


【データ】
■ 会  場 : 豊田市美術館(〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町8-5-1)

《美術館までのアクセス》
◎ 名古屋駅より名鉄豊田市駅まで
地下鉄東山線伏見駅乗り換え、地下鉄鶴舞線豊田市行き終点下車
◎ 名鉄豊田市駅または愛知環状鉄道新豊田駅より
徒歩15分
◎ 自動車利用の場合:
東名高速豊田IC より約10 分 東海環状自動車道松平IC より約15 分

■ 会  期 : 2011 年6 月11 日(土)~ 8 月28 日(日) (会期71 日間)
10 時~ 17 時30 分(入場は17時まで)
月曜休館 ただし7 月18 日、8 月15、22 日は開館

「豊田市美術館 公式サイト」

「中京テレビ フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展 専用公式サイト」



画像・記事は主催者の許可を得て、取材・撮影をしたものです。
画像の転用はお控えください。


取材、撮影: 美静


関連記事