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浅井雅弘  〔balloon photograph〕 アーツ・チャレンジ2013  展示写真レポート

浅井雅弘

[balloon photograph]

アーツ・チャレンジ2013
愛知芸術文化センター 11階 展望回廊


2013年 1月22日(火)― 2月3日(日)


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上2カットは同じ画像です。

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浅井雅弘 [balloon photograph]部分 2013

上画像は4点の作品(部分)を使用していますが、他にも展示されています。
上の5点の画像は、ほぼ同時刻に撮影したものです。

※上画像はある意図で撮影したものですが、本作品のコンセプトを表現している要素は多数あり、一部にすぎません。


■ 写真撮影:浅井雅弘    カメラ機材:美静




浅井雅弘さんが入選されましたが、彼はサイトスペシフィック・インスタレーションによって最も輝きを増す作家です。

アーツ・チャレンジは愛知芸術文化センターの各スペースを活かし作品と融合させる事が望まれ、入選者は自らが選んばスペースで展示する事になります。

こうした点で、各スペースには特徴が様々で、癖のある場所、ホワイトキューブに似た場所等あり、浅井雅弘さんが選んだ場所は特徴的な場所の1つですが、見事にその場を活かしきったという点では、もっともアーツ・チャレンジの趣旨にふさわしい展示でした。

作品の解釈については、コンセプト上、伏せますが、実に緻密で様々な要素が盛り込まれていて、ステートメントに書かれているような事を表現し、問いかけ、伝える為です。

こうした作品の解釈は謎解きのようでもあり、大人の知的ゲームでしょうか。
自分も試されるようでもあり、それがまた楽しいのです。


愛知エリアでは希少な作品で、快作たるすばらしい展示でした♪



[ステートメント]
日常で見慣れた景色を変える事。大きな変化ではなく、ほんの少しの嘘を現実に混ぜこんで。そこに在る事を疑いながらも信じる気持ち。回廊を進む。現実と非現実を揺れ動く場所へと。当たり前の目の前に意識を向ける、装置としての作品。
浅井雅弘





【関連記事】
浅井雅弘(同時代表現) 2012 名古屋芸術大学大学院修了制作展 展示写真レポート
浅井雅弘 「なにをみているの」山本邸 ながくて芸術団 展示室内写真レポート


【略歴】
2004,03 愛知県立旭丘高等学校 美術科 卒業
2010,03 名古屋芸術大学卒業
2010,04 名古屋芸術大学大学院入学
2012,03 名古屋芸術大学 大学院 同時代表現研究 修了

■ 主なグループ展
2007 「BEFOR AFTER」 アートスペースA-1
2007 「あすみるゆめのみ」 ギャラリーbe

2008 「記憶の庭で遊ぶ」 (名古屋市 東山荘)
2008 「男子四名一室」 (ギャラリーbe)
2008 「展覧会をつくろう!」 (Art&Design Center ゲストキュレーター:市原研太郎)
2008 「SUMMER ART PHOTO MARKET」 ギルドギャラリーOSAKA
2008 「境界から見えるモノ」 (Art&Design Center ゲストキュレーター:松尾 恵)
2008 「でらART 古民家プロジェクト」 (名古屋市長久手町 民家)
2008 「明るい食事計画」 (愛知県立芸大 学生食堂2F展示室)

2009 「game×boys」 (ギャラリーBE)

2010 「Unique Commons」 (名古屋芸術大学)
2010 「常滑フィールド・トリップ2010」 (常滑やきもの散歩道周辺)

2011 「Vorious Speeds」 (MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)
2011 「湯谷温泉、明日に向かう光」 (湯谷温泉街)
2011 「#ffffff #000000」 (名古屋市民ギャラリー矢田/愛知)
2011 「でらArt in 徳川園 『牡丹』 」 (徳川園/愛知)
2011 「invisible loophole」 (アートラボあいち/愛知)
2011 「きてみん!奥三河 アートの森 東栄町企画展」 (東栄町 旧東部小学校/愛知)
2011 「ながくて芸術団」 (長久手 山本邸/愛知)
2011 「neWs」 (アートラボあいち/愛知)

2012 「すいい」 (伊勢現代美術館/三重)
2012 「triangle」 (TRANSIT GALLERY/愛知)

※ 一部省略


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上2点拡大します。

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【アーツ・チャレンジ 全体の印象】

全体の印象としては、まだすべての作品をじっくり観てないのですが、質の高さと見せるという両方を兼ね備えた作品が多く、傑出したハイレベルの作品も数点あり、過去に観たアーツ・チャレンジの中で最もよかったと思います。

また、愛知のアートシーンでよく見かける展示、作家とは異なる作風の方が多く、とても新鮮な印象をうけたことも、個人的には喜ぶべきことでした。

1つ苦言を言えば、ボランティアスタッフさんが、、、確率として多々あり、改善向上していただきたいものです。




【データ】
会期: 2013年1月22日(火) ~ 2月3日(日)
時間: 10:00~18:00(金は20:00まで、2/3(日)は16:00まで)
休館日: 1/28(月)
会場: 愛知芸術文化センター 11階展望回廊
入場: 無料

浅井雅弘 公式サイト

アーツチャレンジ2013 公式サイト


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拡大します。


■写真撮影:浅井雅弘  カメラ機材:美静



■画像はご本人の許可を得て撮影したものです。
転載等はご遠慮ください。


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川上美里 「第7回なうふ坂アートフェア」 展示写真レポート なうふ現代

川上美里  「第7回なうふ坂アートフェア」

なうふ現代 (岐阜市)


2013年 1月5日(土)― 1月20日(日)


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川上美里 「羽を休めに」 2012

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「羽を休めに」(部分) 2012


【川上美里】
川上美里さんの作品を観るのは2012年8月のギャラリーヴァルール以来になります。
ヴァルールではじめて複数の作品を観たのですが、良い作品ながら更に上の領域に昇るには、プラスの「何か」を兼ね備える必要性を感じていました。
そして、その事にまつわるお話をして、川上さんからも強い意思と熱意を感じていただけに、本展の作品には非常に注目をしていました。


結果としては、進化したことが明らかに見受けられる、すばらしい作品でした。

内心ここまで進化するとは思ってもいなかったので驚きました。
まずヴァルールからの期間が約3ヶ月しかなかったことで、そんなに短期間で変わるとは思ってもいなかったですし、展示の回数にもよりますが、1~2年くらいかけて徐々にかわっていくのではと。
これは川上さんではなく、過去の作家さんを観てきた中での、自己内の想定印象からそう思っていました。


作家さんは展示の作品でしか、語れません。
鑑賞者は作品を観て、感じるだけです。

ヴァルールの展示から本展の時の中で、何があったのかは、想いを馳せてあげることくらいしか出来ません。
ですが、多くの時を描くことに費やし積み上げてきた宝物を、未来へと飛躍するためにさらに見つめ直す事への壮絶なる戦い。

もちろん、作品に対してわたしの主観的な受け止め方ではありますが、思っていた「何か」をクリアしてくれて、本当にうれしく思います。
こうした作家と鑑賞者が、会話を通じて考え(抽象的)を伝え合い、その後は各々が思い描く事がこうして一致する又は予想以上の事をしてくれたということは、本当に希有な事なのではないかと思います。

まだ、まだ、手探り状態でしょうが、具現化できたことによって、今後多彩な展開ができ、きっと20代の画歴の中で、1つのエポックメイキングとなる作品として位置づけられる事になるでしょう。


1人の若き作家の素敵な物語を見せていただきました。



【作品】
作品については、ギャラリートークをすれば1時間くらいは話せるだけの非常に多面的な魅力がありますが、今回は解釈するのは控えさせていただきます。

また画像では良さが出しきれてないのが残念ですが、実際の作品は深みと煌めきを兼ね備えています。


【全体の感想】
「なうふ現代」は岐阜、金華山の麓にありますが、とても雰囲気のよいギャラリーです。
山と川に囲まれたロケーションは趣があり、行き帰りもドライブ気分で、こうした立地の鑑賞もいいものだな~と楽しくも新鮮な体験ができ、年明け最初の鑑賞としては幸先が良いです!
ちなみに金華山はとても夜景が綺麗ですよ♪


肝心の展示ですが、作家さんの組合せもよく、とてもまとまりがあり良い展示でした。


美静



[関連記事]
及川裕子 / 川上美里展 あるがまま 展示写真レポート ギャラリーヴァルール



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■ 川上 美里  KAWAKAMI Misato

1986 愛知県名古屋市に生まれる
2005 東邦高等学校美術科 卒業
2009 名古屋芸術大学美術学部絵画科洋画コース 卒業 


個展
2008 「日々と刻々と寂」 (Art&Design Center/愛知)

グループ展
2004 東邦高等学校第12回卒業制作 未来の芸術家たち展 (愛知県美術館/名古屋)

2005 第6回 青風展 (名古屋市民ギャラリー矢田/名古屋)

2006 いろ展 (名古屋芸術大学/愛知)
   第7回 青風展 (名古屋市民ギャラリー矢田/名古屋)

2007 境界から見えるモノ (Art&Design Center/愛知)
   tocotoco  (名古屋芸術大学/愛知)
   第8回 青風展  (名古屋市民ギャラリー矢田/名古屋)

2008 第58回 中部二科展 (名古屋市博物館/名古屋)
   展覧会をつくろう (Art&Design Center/愛知))

2009 名古屋芸術大学 卒業制作展 (愛知県美術館/名古屋)
   第59回 中部二科展 (愛知県美術館/名古屋)
   Truth 貧しき時代のアート (hiromiyoshii/東京)

2010 Fresh2010  6人の視点 (伊勢現代美術館/三重)
   Unique Commons  わたしだけのみんなのもの (名古屋芸術大学/愛知)

2011 3sentiment(ギャルリー くさ笛/名古屋)
   an art(ギャルリー くさ笛/名古屋)

2012 密度Ⅲ (アートラボあいち/名古屋)
   something (ギャルリー くさ笛/名古屋)
   ART & PHOTO EXIBITION 2012 (新宿眼下画廊/東京)
   あるがまま (ギャラリーヴァルール/名古屋)

2013 日本コラージュ2013 (Gallery K/東京)


受賞歴
2004 全国大学生・高校生絵画公募展 アールビジョンアートビエンナーレ  優秀賞
2009 名古屋芸術大学卒業制作展ブライトン大学賞 



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【データ】
会期: 2013年1月5日(土)― 1月20日(日)
時間: 11:00~18:00
定休: 会期中無休
住所: 岐阜市なうふ坂14番地
電話: 058-264-2920
交通: JR岐阜駅、11・12番バス停から「本町1丁目」下車 徒歩約6分



■ 画像はご本人の許可を得て撮影したものです。
転載等はご遠慮ください。
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生誕150年記念 クリムト 黄金の騎士をめぐる物語 展示写真レポート 愛知県美術館

生誕150年記念
クリムト 黄金の騎士をめぐる物語

愛知県美術館


2012年 12月21日(金)― 2013年 2月11日(月・祝)


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グスタフ・クリムト 《人生は戦いなり(黄金の騎士)》 1903年
愛知県美術館




Ⅰ 闘いのプレリュード
ウィーン工芸美術学校入学から分離派結成へ


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展示風景

【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】


本章はクリムトのウィーン工芸美術学校時代の素描や初期の油彩画、そして分離派時代の活動で構成されています。


・ グスタフ・クリムト(1862-1918)
・ 1876年 14歳 ウィーン工芸美術学校入学


[初期油彩画]
まだクリムト独自の様式が確立される前の油彩画になりますが、28歳頃に描かれた《ふたりの少女と西洋夾竹桃》1890-92年頃は本章の目玉の1つでしょう。
そのエレガントな描写は観た瞬間、ラファエル前派の作風に似ていると思いました。


[ウィーン分離派(ゼツェッション)]
1897年結成
初代会長クリムト(35歳)
絵画、彫刻、工芸、建築などのアーティストが集まり、古典主義からの脱却をめざした新しい総合的な芸術運動。

本章では、分離派展のポスターと機関誌「ヴェル・サクルム(聖なる春)」が多数展示されています。
また、分離派展は他国の美術動向を紹介する展覧会も多数開催しましたので、マッキントッシュ、ミンヌなどの工芸、彫刻作品も展示され、関連性がよく理解できるようになっています。

分離派展の第8回はマッキントッシュなど他国の工芸、建築、デザイナーが多く出品され、後の分離派にも多くの影響をもたらせたと思います。
分離派展のポスターを観ると第8回以降は、華麗なアール・ヌーヴォー様式から有機的と幾何学的なデザインが融合したポスターが多くなります。
代表的な作品がコロマン・モーザーの第13回展のポスターでしょう。


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展示風景

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グスタフ・クリムト 《第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲後)》 1898年
宇都宮美術館
collection (C)Utsunomiya Museum of Art
※前期のみ展示

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『ヴェル・サクルム』第3年次24号pp.384-385 1900年
《第8回分離派展10室、チャールズ・レニー・マッキントッシュ、マーガレット・マクドナルド・マッキントッシュ・コレクションより》 宇都宮美術館
collection (C)Utsunomiya Museum of Art
※前期のみ展示

【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】


・ラファエル前派(英)1848-
・印象派(仏)1874-
・ウィーン分離派1897-

・アーツ・アンド・クラフツ(英)
・グラスゴー派(英)
・アール・ヌーヴォー(仏)
・民藝運動(日)
・ウィーン分離派
・ウィーン工房





Ⅱ 黄金の騎士をめぐる物語
ウィーン大学大講堂の天井画にまつわるスキャンダルから「黄金の騎士」誕生へ


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展示風景

【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】


本章は、展覧会タイトルにもなっている愛知県美術館が世界に誇る名画
《人生は戦いなる(黄金の騎士)》1903年が中心となって展開されています。

1894年 クリムトはウィーン大学大講堂の天井画に取り組むが批判を受け失意にいたる。
1900年 アッター湖畔をはじめて訪れる~1916年まで毎年訪れ風景画を46点描く。
1902年 ベートーヴェンの交響曲第9番を基にした《ベートーヴェン・フリーズ》を
      第14回分離派展で出品し、初めて「黄金の騎士」が描かれる。
1903年 《人生は戦いなり(黄金の騎士)》が第18回分離派展で発表される(41歳)。
1903年 ウィーン工房設立(ホフマン、モーザー他)。
1905年 クリムト「ウィーン分離派」を脱退。
1905年―1911年 ストックレー邸をウィーン工房と共同で食堂内装にかかわり、
      《ストックレー・フリーズ》(モザイク画)1908-1911年を完成させる。



【ストックレー邸】
建築家ヨーゼフ・ホフマンによって考案され(1905-1911年に建設。)ベルギーブリュッセルに現在も残るユネスコの世界遺産建築。
ウィーン工房とクリムトらが内装、家具、食器なども手がけた総合芸術の結晶。

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ストックレー邸の食堂での配置を再現



【ウィーン工房】
ウィーン分離派のメンバーである建築家ヨーゼフ・ホフマン、デザイナーコロマン・モーザーらによって1903年設立。
ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ、マッキントッシュのグラスゴー派の影響からのウィーン分離派がめざした総合芸術を継承し、日常生活への浸透をかかげた組織。
内装、工芸、家具などを製作。

本章のもう1つの重要なテーマは「ウィーン工房」で、建築家ホフマン、デザイナーコロマンの作品が多数展示されていて、家具、インテリア、食器、日用品、宝飾品まで、この工房の特徴がよく理解できます。

有機的で曲線を用いた作品や幾何学的でモダンな作品、その2つのデザインが融合した作品など、実にユニークでもあり、純粋美術と応用美術からの総合芸術のありかた。この流れは後のモダニズムへの流れの基になっているかと思います。


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ヨーゼフ・ホフマン(ヤーコプ&ヨーゼフ・コーン家具製作所)
《プルカースドルフ・サナトリウムのサイド・チェア》 1904年 宇都宮美術館
collection (C)Utsunomiya Museum of Art

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奥:コロマン・モーザー(E・バカロヴィッツ父子社、マイヤーズ・ネフェ工房に製作委託)
《ワイングラス「流星紋」》 1901年頃 宇都宮美術館
collection (C)Utsunomiya Museum of Art

手前:ヨーゼフ・ホフマン(ウィーン工房、マイヤーズ・ネフェ工房に製作委託)
《蓋物》 1914年頃 宇都宮美術館
collection (C)Utsunomiya Museum of Art

【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】




Ⅲ 勝利のノクターン
クンストシャウ開催から新たなる様式の確立へ


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展示風景

【画像は主催者の許可を得て撮影したものです。】



本章は1905年(43歳)に分離派を脱退した後の活動で展開されています。

1905年  「ウィーン分離派」脱退。
1906年  「ウィーン総合芸術展(クンストシャウ・ウィーン)」第1回展開催。
      本展でクリムトの象徴とも言うべき《接吻》(1907-08年、ベルヴェデーレ宮オーストリア美術館蔵)が出品される。
1918年  ウィーンにて56歳で永眠。

本章では晩年の油彩画が3点出品されています。
注目はワシントン・ナショナル・ギャラリーの《赤子(揺りかご》1917-18年だと思いますが、わたしが惹かれたのは《リア・ムンクⅠ》1912年 個人蔵(リチャード・ナギ画廊、ロンドン)です。
ジョン・エヴァレット・ミレイの《オフィーリア》を彷彿させる高貴な美しさを感じる作品で、本展の中で最も印象に残りました。






【主旨】
この展覧会は、愛知県美術館の開館20周年記念展として開催されます。
愛知県美術館の所蔵作品、クリムトの代表作《人生は戦いなり(黄金の騎士)》(1903年)は、わが国の公立美術館が収蔵した最初のクリムトの油彩画です。クリムトの画業において重要な位置を占めるこの作品は、世界各地で開催されてきた重要なクリムト展にたびたび出品され、その存在を世界的にも広く知られるようになりました。
この《人生は戦いなり》のメインモチーフである「黄金の騎士」のイメージは、寓意に富んだ《ベートーヴェン・フリーズ》(1902年)に描かれた騎士像に直接由来しています。また金を多用しつつ、平板で幾何学的な装飾性は、当時のウィーンを取り巻く美術界の中から生まれたもので、ウィーン工房の作品との共通性が認められます。
本展覧会では、国内外のコレクションによるクリムトの油彩画約10点、素描約30点をはじめ、ウィーン分離派やウィーン工房など、クリムトが深くかかわったウィーンの美術動向を示す作品群とあわせて、《人生は戦いなり》を様々な側面から検証することで、この作品にまつわる物語をひもときます。



【展覧会の見どころ】
① クリムトの黄金の騎士の謎にせまる!
《人生は戦いなり》における「黄金の騎士」は、当時のウィーンの旧弊な美術界と戦い、自由で新しい芸術を生み出そうとしたクリムト自身を投影したイメージです。本展では、クリムトが戦う人物像を初めて登場させた作品から、「黄金の騎士」の前身と言える《ベートーヴェン・フリーズ》における騎士像、そして《人生は戦いなり》以降の騎士イメージの展開までをご紹介します。騎士像の展開を追うことにより、クリムトが独自の装飾的な絵画様式を打ち立てた道筋をたどります。

② 《ストックレー・フリーズ》に囲まれた華やかな空間
ブリュッセルの実業家アドルフ・ストックレーは、自宅の建築をヨーゼフ・ホフマンに依頼しました。そしてクリムトは、このストックレー邸の食堂壁の装飾画をデザインします。完成した装飾画は今もストックレー邸に残り、限られた訪問者のみが目にすることができます。本展では、この装飾画の下絵を実物大で複製し、ストックレー邸の食堂での配置を再現するように展示します。クリムトが長年かけて構想した絵画空間を体験していただくことができます。

③ クリムト初期の作品が充実!
本展には、学生時代の素描など、クリムト独自の装飾的な様式が確立される以前の作品が多く出品されます。若き日のクリムトは、ウィーンのリンク大通り沿いに建設されたブルク劇場や美術史美術館を始め、帝国内各地の公共建築の壁画を古典的で甘美な様式で描きました。こうした壁画家としての経験は、後に《ベートーヴェン・フリーズ》や《ストックレー・フリーズ》で活かされることになります。一方で、クリムトにとって重要なジャンルのひとつとなる風景画も初期作品の中にすでに見ることができます。

④ ウィーン工房による家具やジュエリー
クリムトが《人生は戦いなり》を描いた1903年は、ウィーン工房が設立された年でもあります。工芸を芸術的レベルへ引き上げることを目的としたこの工房では、手の込んだ水準の高い作品が数多く制作されました。本展で展示するウィーン工房の家具や食器に、金の多用や正方形のデザインなど、《人生は戦いなり》との共通点も発見できるでしょう。とりわけ、繊細で美しいジュエリーは、ウィーン工房の作品群の中でも必見です。クリムトが恋人エミーリエ・フレーゲに贈ったブローチも展示します。

⑤ クリムト晩年の代表作を日本初公開
ワシントン・ナショナル・ギャラリーから本展に出品される《赤子(揺りかご)》(1917-18年)は、クリムトが55歳で亡くなる前年に描かれた晩年の大作です。本展では、この作品が日本初公開となります。赤子は衣服の装飾の渦に埋もれるように頭部だけをのぞかせ、見下ろす視線を鑑賞者に投げかけます。その視線に出会う時、私たちはこの作品に吸い込まれるような感覚を覚えるでしょう。




【関連事業】
■ 「クリムトの現代性――『Klimt Gold』2012-13秋冬コレクションより」
講師: 小篠ゆま (ファッションデザイナー)
日時: 2013年1月13日(日) 13:30-15:00
会場: アートスペースA (愛知芸術文化センター12階)
定員: 先着180名

※ 要申込み・聴講無料。
※ 1人1枚の往復はがきで、郵便番号、住所、氏名、電話番号をご記入の上、愛知県美術館企画業務課「クリムト展」係までお申し込みください。

自身のブランドYUMA KOSHINOの2012-13年秋冬コレクションにおいて、クリムトの用いた金色をテーマに作品を発表した、ファッションデザイナーの小篠ゆま氏。彼女を講師に迎え、このコレクション発表の過程を中心に、現代のクリエイターにとってのクリムトの魅力を語っていただきます。

[講師プロフィール]
1968年大阪府生まれ。文化服装学院卒業後渡欧。1998年にYUMA KOSHINOコレクションを発表。2012-13年秋冬コレクションでは、クリムトの用いた金色をテーマに作品を発表。

■ スライドトーク(学芸員による展示説明会)
日時: 2013年1月11日(金) 18:30-19:10
2013年1月19日(土)、1月26日(土)、2月3日(日) 各11:00-11:40
会場: アートスペースE・F (愛知芸術文化センター12階)
定員: 先着60名
※ 申込み不要。開始時刻に会場にお集まりください。




【データ】
名 称: 生誕150年記念 クリムト 黄金の騎士をめぐる物語
会 場: 愛知県美術館 [愛知芸術文化センター10階]
会 期: 2012年12月21日(金)-2013年2月11日(月・祝)

※一部の作品は展示替えをします。展示期間は下記の通りです。
前期:2012年12月21日(金)-2013年1月20日(日)
後期:2013年1月22日(火)-2月11日(月・祝)

開館時間: 10:00-18:00 金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休 館 日: 毎週月曜日(ただし12月24日[月・振]、1月14日[月・祝]、2月11日[月・祝]は開館)、12月25日(火)、1月15日(火)、年末年始(12月28日―1月2日)

主 催: 愛知県美術館、中日新聞社、東海テレビ放送

展覧会ウェブサイト

愛知県美術館 公式サイト


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愛知県美術館 展示風景

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クリムト展公式 Facebookページ (三館共通)

本展では、愛知県美術館、長崎県美術館、宇都宮美術館の三館共通の「専用公式Facebookページ」があり、現在開催中の愛知県美術館の展示やイベント等もリアルタイムで多数UPされています。

また、すでに第二会場の長崎県美術館のフライヤーやイベント情報もUPされており、今後も第三会場の宇都宮美術館の会期終了まで、様々な情報が公開されると思います。




[他会場]
■ 長崎会場
会場: 長崎県美術館
会期: 2013年 2月22日(金)-4月7日(日)
長崎県美術館 公式サイト

■ 宇都宮会場
会場: 宇都宮美術館
会期: 2013年 4月21日(日)-6月2日(日)
宇都宮美術館 公式サイト





※参考:展覧会図録

撮影:こうもりえ(一部:美静)


■ 画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
転載等は厳禁にてお願いいたします。

※本記事に使用の画像は前期展示で撮影したものです。


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