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所蔵企画展 ひかり 絵画にみる光の表現 展示写真レポ メナード美術館

所蔵企画展 ひかり 絵画にみる光の表現

メナード美術館(小牧)


2012年 1月2日(月)― 4月1日(日)


【見どころ】
私たちのまわりは多くの光に満ち溢れています。生命を育む太陽の光、夜をやわらかく包む月明かり、星の煌めき。電灯など現在の人工的な光には、夜でも昼間と同じように活動できるほどの明るさがあります。

美術の世界でも、多くの画家たちが光を題材に、さまざまな表現の作品を生み出しました。金銀などの装飾効果を用いることで作品自体から光を感じる絵画もあります。

この展覧会では、所蔵の西洋絵画、日本画、日本洋画、工芸より、光を描いた作品や、輝きを感じさせる作品約70点を展示します。初公開のピエール・ボナール《青いジレを着たブロンドの女》は、柔らかな光と色彩に満ちた作品です。フランスの巨匠ボナールは身近な日常を題材とした光あふれる室内風景を多く描きました。

東日本大震災の影響による節電対策で、光のある暮らしの大切さが痛切に感じられるようになり、自然に存在する光の明るさ、美しさの再発見が大きなテーマになっています。2012年の新しい年を迎える今、身のまわりにある「ひかり」についてあらためて考えるきっかけとして、絵画を通したさまざまな光の表現をお楽しみください。


4章構成
■ 「自然の光」
■ 「光の効果」
■ 「室内・暮らしの光」
■ 「工芸にみる光」




■ 「自然の光」
光のイメージとしては暖かいイメージが連想されるかと思います。
展示作品はそのような春や夏の明るい日差しや夕刻時の光もたくさんありますが、特に印象的だったのが、厳しい冬の光の作品モーリス・ド・ヴラマンク「雪景」。
暗い空から光が差し込み、建物につもった雪を照らす。
この厳かな雰囲気と太い筆跡による真っ白な雪景色がとても印象に残りました。



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クロード・モネ 「チャリング・クロス橋」 1899年

■自然の光と聞いて真っ先に浮かぶのが印象派。
印象派は刻々とかわる光の動き、変化の質感を表現しましたが、その中でも代表的画家がモネでしょう。

本作を見てもわかるようにモネの絵は臨場感に富み、時代を経てもその風景の変化が目の前で見て取れるようで、いつまでも古さを感じさせない新鮮な魅力があるのだと思います。

本作は本章「自然のひかり」を代表する作品でしょう。


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「暁の海」 藤島武二 1931~32頃




■ 「光の効果」
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「画像の展示作品は前期展示作品です。現在(2/14-4/1)は後期展示作品に替わっています。」



■ 「室内・暮らしの光」
本章は室内・暮らしの光りがテーマですので、静物画や室内画が多数展示されています。

とても素晴らしい作品の数々で、ピカソ、モランディ、デルヴォー、ビュッフェなど、錚々たる画家の質の高い作品が並ぶ様は圧巻。
私がもっとも魅了された章でもあります。


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左: ピエール・ボナール 「静物=りんごと水差し」 1931頃
右: ピエール・ボナール 「青いジレを着たブロンドの女」 1922

■本展 最大の注目作品。 
初公開のピエール・ボナール「青いジレを着たブロンドの女」。

ボナールはナビ派に分類され、日本美術の影響を最も受けた画家。
室内をテーマに描く事が多かった事から親密派(アンティミスト)と呼ばれる。

本作に描かれている女性は画家のモデルで恋人のルネ・モンシャンティと思われます。
ブロンドの髪、明るいピンクのシャツと青いジレ(ベスト)の色彩のコントラストに、光が差し込み照らされたルネのうつむき気味の表情が印象的です。


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小出楢重 「卓上の蔬菜」 1930


【ワークショップ】
■ 3/10(土) 金銀砂子のはがきづくり  申込先着順 各15名

身近な道具を利用して、金や銀の箔で装飾したオリジナルはがきをつくりませんか。
砂子とは、金箔を砂のように細かくしたものです。初めての方もお楽しみいただけます。

時 間: 10時30分~/14時~ いずれか1回 (約90分)
講 師: 同館学芸員
会 場: アネックス・ホール (別館)、展示室
参加費: 800円、別に入館券が必要
対 象: 中学生以上
保護者の方と一緒につくられる場合、小学3年生以上のお子様もご参加いただけます。(参加費800円と、お子様と保護者の方それぞれの入館券が必要となります。)

持ち物: マスク (息で箔が飛ぶのを防ぐため)
ワークショップ中は空調を止めた状態になります。
暖かい服装でご参加ください。



【コレクション・コーナー「西洋絵画名作選」】

■ こちらのコーナーもメナード美術館の質の高い充実したコレクションを堪能できます。
ポスト印象派セザンヌから素朴派、フォーヴィスム、キュビスム、シュルレアリスムと20世紀美術を代表する画家の作品が並びます。

本章でもっともインパクトが強かったのはラウル・デュフィ「シシリー島風景」
絵画の中心がパリやドイツ、ベルギーということもあって、なかなかイタリアの風景画を見る機会がなく、シシリー島を描いた本作は色彩豊かで、濃厚な筆跡とあいまって実に魅力的な作品です。


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ジェームズ・アンソール 「仮面の中の自画像」 1899

■ メナード美術館が世界に誇る、アンソール傑作中の傑作。


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ポール・セザンヌ 「麦藁帽子をかぶった子供」 1896~1902頃




【データ】
展覧会名: 所蔵企画展 ひかり 絵画にみる光の表現
会期: 2012年1月2日[月]- 4月1日[日]
( 前期展示:1/2-2/12、後期展示:2/14-4/1 )

開館時間: 午前10時~午後5時 (最終入館は4時30分まで)
休館日: 月曜日(但し1/9は開館)、1/10
会場: メナード美術館
〒485-0041 愛知県小牧市小牧5-250
TEL: 0568-75-5787
主催: メナード美術館

■ 画像の作品は全て前期1/2-2/12の展示作品です。
  前期と後期で作品が一部入れ替わりますので、ご了承ください。


メナード美術館 公式サイト

■ 全作品メナード美術館所蔵


取材: 美静
撮影: こうもりえ


■ 画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
転載等は禁じます。




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